会長挨拶
会長 巴ひかる
東京女子医科大学東医療センター 骨盤底機能再建診療部/泌尿器科 教授
このたび第27回日本排尿機能学会を2020年10月15~17日の3日間、TKPガーデンシティ品川(SHINAGAWA GOOS 1階)で開催させていただくこととなり、大変光栄に存じます。第1回神経因性膀胱研究会から数えると69回目となります。47年間の歴史で初の女性大会長であり、身の引き締まる思いです。
学会のメインテーマは「下部尿路機能障害における性差医療」と致しました。下部尿路には解剖学的に性差があり疾患も罹患率も異なります。過活動膀胱のように男女ともほぼ同じ罹患率の疾患、尿失禁や間質性膀胱炎のように女性に多い疾患、骨盤臓器脱や前立腺肥大症のように性差のある疾患があります。また治療の反応性において、夜間多尿による夜間頻尿に対するデスモプレッシンの適応は男性のみですが、実は男女での薬効には大差があります。性差は、治療後のPatient Reported Outcomeにもあるかもしれません。
基調講演は本望修教授(札幌医科大学医学部神経再生医療科)から脊髄損傷の再生医療を(WEB講演)、招請講演はLori Birder教授(University of Pittsburgh)、Marcus Drake教授(University of Bristol)、吉村直樹教授(University of Pittsburgh)に各専門領域のトピックスをご講演いただきます。特別講演は大内尉義先生(前虎の門病院長、前東京大学病院老年内科教授)から高齢者の医療を、清水達也教授(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)から再生医療をご講演いただきます。特別企画講演は、私の心の師である世界的マットペインターの上杉裕世氏にご講演いただきます(WEB講演となる可能性あり)。このほか、8つのシンポジウム、多角的アプローチを要する疾患3つのワークショップを企画しました。新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策で繁忙であるにもかかわらず、一般演題は221題の応募をいただきました。
最近心に刻んでいるのは「神は細部に宿る」という言葉です。問診も手術も細かい観察、こだわりの積み重ねで結果が変わることが大いにあると感じています。日本の基礎研究は世界一です。サブタイトルにした「臨床を究め、アジアから世界へ」は、細かい観察力から得たひらめきと最先端の基礎研究を合体させることができるのは日本が一番と信じています。
東京オリンピック2020はCOVID-19の影響で延期となり、本大会に続けて開催予定であった日本で5年ぶりとなるThe 15th PPCS(Pan-Pacific Continence Society)Meetingも来年に延期となりました。本大会も、現場開催とライブ配信などのハイブリッド型とするか、完全WEB配信とするかで揺れ動いていますが、熱い大会にしたいと思う気持ちに変わりはありません。皆様に少しでも安心してご参加いただけるよう、席の間隔を広くしたり、ビデオ同時視聴会場を設けたり、ポスターセッションが密にならないようショートポディウム形式にしたりといった感染対策をしております。新しい生活様式の中、例年とは異なる開催様式となりますが、WEB参加も含め沢山の皆様のご参加をお待ちしています。どうぞよろしくお願い致します。
最後に本会の開催にあたり、多くの皆様から言葉に尽くせぬご協力・ご支援をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。